46.制服がないとキレられた話

 #派遣の話


自分がまだ20代後半だったか30代前半だったか…

まだパソコンスキルも低くて、入力速度も遅くって、

そんな私でもつとまるかもしれない? 求人を見つけたので応募しました。

電卓とか、電話応対とか、掃除とか、結構アナログ。

派遣登録に行きました。




派遣会社さん「紹介予定は希望されますか?」

私「いいえ、一般派遣で希望します」


派遣会社さん「制服は希望しますか?」

私「いいえ、制服は希望しません。ないほうがいいです」


派遣会社さん「そうですか。実はあなたが応募した仕事は制服アリなんですが…」

私(…募集要項に書いてなかったじゃないの。なんで後から言うの)


きっぱり断れなかった私、

面談まで行きました。





会社訪問先で、

社員さん「で、雇ってあげますよ。…制服は何号?」

…と、聞いて派遣会社の営業さん大慌て。

面談のその場で雇う雇わない言うのはご法度のはずですから。



私「3か5です」


社員さん「はあ!?そんなサイズあるわけないよっ」

と烈火のごとくキレだした。


社員さん2「…まあ、なんかあったはずですよ。過去にサイズが合わないからって勝手にサイズ直しした派遣スタッフが使ってた制服がのこってますから」


社員さん「あのねえ、貸与品なんだから勝手にサイズ直ししたらダメなんだからね!」



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そもそも私は身長が低い。

細いのではなく小さい。体質の問題。

理解のある医師は「代謝がね」とニコニコしてくれるけど、

理解のない医師からは「どうせ無理な減量でもしてるだろう!」

と健康診断で怒鳴られる。

…だが、減量なんてそんなもんはやったことがない。

母からは「アンタがやせてるせいで…!私がちゃんと育ててないみたいに言われる!」と殴られたり人格否定されたりしてきた。



私が学生~新卒だった時期っていうのは『フリーサイズ』とかいう謎の言い回しがあって、

アパレルメーカーはおよそ9号くらいのワンサイズしか作らなかった時期だった。

販売員「誰でも着られるんですよー」とスカートのゴムを伸ばして見せるのが常套だった。

ウエストにゴムがあろうとちょうどいい肩幅とか丈とかは無視ですよ。

アタシが着ると肩幅めっちゃとび出しますよ。

致し方なく都会の百貨店まで出かけて『小さいサイズコーナー』でスーツを買ったりしてた。



大抵の日本企業の制服も、

ざっくりサイズのワンサイズしか作っておらずで、

ブラウスなんて『大は小を兼ねる』とでも言いたいのか、

めちゃくちゃ大きかったりした。

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この訪問先の会社の制服、試着させてもらった。

やはりブラウスはワンサイズしかなく、もしかして15号くらいあったんでなかろうか。

皆これ着てるの?

「半袖しかない」そうで。

半袖の脇繰りが大きすぎて、腕を上げればブラが丸見えになった。



スカートの方は誰かが勝手にサイズ直ししただけあって、

サイズはちょうどよかったのだけど、

なんせブラウスがでかすぎて…

タイトスカートの下にブラウスのすそがはみ出てしまった。

ちょっとどころではない、15センチは出ていた。



私「制服が合わないからここでは働けません」




…こんなんでいいわけない。

はじめっからきっぱり「制服ある会社では働かない」って言う勇気がなかった自分を呪った。



それから2~3年後、この会社は倒産し、どこかに救済されることもなかった。