38.気晴らしがしたい!という社員さん

 #派遣先の社員さん


とある派遣先の社員Aさんは、派遣スタッフの私ともいろいろ話してくれるのだけど、

「忙しくて余裕がない」「気晴らしになにかしたい」とよく言っておられました。



たしかに慢性残業続きの会社で、朝は9時からでいつも自主的名目で20時過ぎまで。

「今日は予定があるから帰ります!」が通用しない会社さんでした。

そんなだからお迎えが必要な小さいお子さんがいる人は、いない。

独身が圧倒多数、あとは子供なしか子供がすでに大きくなってるか…な社員さんしかいませんでした。



社員Aさんは独身で実家暮らしでしたので、

自分の好きなものを買う余裕はあったようですし、行こうと思えば旅行に行けるようなお金がありました。

でも、

いつも不自由そうでした。



「みんなで化粧品談義したい」とか、

「夏なら夏らしいことしたい、花火見に行くとか」

「習い事したい!」

と、やろうと思えば今すぐできそうなことばかりなのですが…

「…したい!」というだけで実践には至らない。を繰り返していました。



ある日、Aさんが「ヨガやりたい!何かダンスでも。近くにないかしら!?」

というので、

私「それならありますよ。駅に向かう途中に、一戸建ての一階を改装してヨガと舞踊教えてるって看板が…」

実はAさん、お住まいは私のお家の近くでしたので、最寄り駅も同じ。

なので、最寄り駅に向かうまでにそのヨガと舞踊をやっているお家は見ているはずです。

するとAさん、

「ああ!あのキチャナイところね!ええー」

とたいそう御不満そうでした。




…習い事する場所は、ぴかぴか綺麗じゃなきゃいけないらしい。

でも、ヨガやダンススタジオ専門てなると、

たいていが建物古くて、

汚く見える(※掃除はしてる)ビルで、

トイレも改装してないから和式のままで、場合によっては男女共同の一つだけとかで、

節約のために照明も暗くって、スタジオの鏡に自分の顔を映しても良く見えないくらい暗かったりもする…

のが、普通なんだけどな。



Aさんの場合は、新しくオープンしたばかりのフィットネスクラブとかを狙うのがいいかもね。そういうのなら設備も綺麗だろうし。



その後もAさんが習い事を始めることを見たことはなく…

お仕事の疲れがたまって退職されました。



Aさんのご実家はまだあるのだけど、

Aさんを見かけることがなくなりました。


お家出られたんでしょうかね…