37.部活の子

 #派遣の話


その時の派遣先は、派遣スタッフの人数が多かったです。

多いんだけど、同じ部署の同じ仕事をする派遣スタッフっていうのはいなくって、

みんな全員違う仕事してました。

どちらかというと部署に雇われたのではなく、各社員につき一人ずつ派遣がついてた感じでした。


派遣はみんなちょっとずつ接点はある(サンプル品貸してもらうとか、在庫移動とか)けど、

それぞれの業務の大変さは、本人自身から聞かされたことを信じるしかありません。



大勢いる派遣スタッフの中で完全に一人行動の人もいたけど、

7人ぐらいのグループを組んでみんなでランチしているメンバーもいました。



会社には休憩室はあるけども、フロア人数が200人くらいいるのに対し、

10名程度しか収容できない小さなもので、

午前中のうちから『ハンカチ』をおいて、7人のメンバーさんは場所取りをしていました。



私は入ってきたばかりということで、一緒にお昼食べさせてもらったのですが、

部活子さん(仮名)「ナラコさん、あなたの指揮命令者やってる社員さんて、仕事できないのにすっごい偉そうだよね?」

私「え?そうですか?」

後輩子さん(仮名)「できない!アノ人はできない!」

部活子さん「だって、簡単なことしかやってないんだよ! その仕事、後輩子さんが全部できたんだもん!」




後輩子さん、実は私の指揮命令者にあたる社員さんが産休中に、『産休代替』としてこの会社に入ってきたそうでした。


後輩子さん「アタシができたんだよ!それなのに産休から戻ってきたらアタシを別部署に追い出して。それでなんでまたナラコさんを派遣で雇ってんの?? たいした業務量じゃないんだよ」


私「あー。私が聞いているのは、私の指揮命令者は同ポジションの同業務に戻ってきたわけではなくって、他部署と兼任することになったから、業務量が増えると聞いてます」


後輩子さんと部活子さん「いーーーやっ アノ人は仕事できないの!」


後輩子さん「だって!アノ人の産休中私がやっていて、『ちゃんと出来てる』『すばらしい』ってマネージャーに言われたもん! 私はアノ人の仕事全部できたの!」






私(…そーかそーか。前例確認せず販促物の管理番号をバラッバラのめちゃめちゃに番号付与した犯人はアンタだったのか。 ちょっと混乱したんだぜぃ)



私「…ところで、社員さんにしか出来ない仕事ってあるじゃないですか。実際今日も指揮命令者さんは契約締結にかかわる書類とか、臨時スタッフ雇用の金額の話とかしておられたし。…そういうのは通常は派遣には任せようがないですもんね。

失礼ですが後輩子さんは『派遣に頼んでも良い業務範囲』を依頼されてて、派遣には頼めない範囲はマネージャー陣が引き取っていたんじゃないですか



後輩子さん「いーーーやっ アノ人は仕事できないの!

部活子さん「そうだよねぇ! なのに戻ってきたら自分の下にまた派遣いれちゃって図々しいったら」



休憩時間が終わりそうだったので、時計見て慌てて席を立とうとすると

部活子さん「この会社、なんで50分休憩なんやろなあ」「アタシたち、いつも60分とってるよ」

と、こっちの顔を覗き込んできた。


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コイツハダメダ。

この人たちと話していたら、私まで指揮命令者さんの悪口を言っていることになってしまうのが一番嫌。勝手に休憩時間増やしてるのも嫌。ハンカチとって場所取ってるのも嫌。

もう誰とも仲良くしないで一人でご飯たべようそうしよう。



そのせいか…

部活子さんは備品のありかとか、専用システムの使い方とか一切教えてくれなくなりました。

この会社、「派遣が派遣に教えてあげて当然」と思ってる会社だったんでそこは困りました。



自分の指揮命令者に「ちゃんと教えてもらえないんですよ」って言いにいったら、

指揮命令者さんが部活子さんのところまで直接言いに行って。

すると部活子さん、すみませんどころか、「一言言わせてください」と喋りだし、

「あなたがちゃんと仕事しないのが悪いんです。このくらい自分でやってください」

と反論してた。



その後、専用システムによる購買とか、

受発注とか、データ抽出のうえ集計とか、教えてもらえはしたんだけど…(後述)


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ある日、

後輩子さんは私を見るたびにブルブルと震えるようになりました。


なにやら部活子さんから「Excelの出来るナラコを入れたから、後輩子さんのことをクビにするつもりなんだ」と吹聴されたらしい。

⇒ 後輩子さんはすでに別部署の別仕事の専任についてるのに?



部活子さんはことあるごとに私にチャットしてきます。

当時はスカイプ。

相手していれば何時間でもチャットが続きます。

内容はまったく仕事かんけーありません。


忙しい日に「ちょっと今日は無理です」とチャットを断ったら、

部活子さんからメールで「あなたのことなんてもう知らないです。私がいなくて仕事できなくても勝手にしてください」

ときてました。



とりあえずスカイプは常に「受信拒否」状態にして使えなくして、

でもまあ専用システムの使い方とかはもう知っているし、平和に仕事できるかなーと思いきや、

今度は部活子さん、1日3回でも4回でも、広いオフィスを歩いて私のとこまでくるようになりました。(この人仕事は?)



で、

ちょっと来いって呼び出すんですよ。

体育館の裏ならぬメール室に。

で、

腕組みして、そっぽ向いて。

部活子さん「どうする!?」

私「なにがですか?」

部活子さん「あなた何もできるようになってない」

私「私出来てないんですか?(アンタ部署違うから私が出来てなくても支障ないやん)」

部活子さん「出来てないに決まってるでしょ!」

「どうするつもり!このままだとやばいよね」

私「じゃ!私の指揮命令者さんに聞いて相談しますね!」

部活子さん「どうするつもり!あんたなんか何も出来てないし」

私「ハイ、指揮命令者さんに言いますね!」

部活子さん「…あんたなんか出来てないどうする…」

…長っ。



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実は部活子さん、その時すでに妊娠しておられて、

似たような性格の後任の派遣スタッフが派遣されてきて、その人に引き継いで辞めていかれました。



その後なぜか、部活子さんの指揮命令者だった社員さんに呼び出され

「ウチは50分休憩だから!」とすっごい怖い顔で睨まれました。

⇒そんなの部活子さんとその仲間たちに言いなさいよ!



さらに数か月後、ファイナンスの責任者が私の指揮命令者のとこにきて

「購買や受発注につかってるコストセンターコード!全部誤りなんだけど!派遣のナラコはなんでそんな勝手なことしてるんだ!?予算も超過してるし!」

⇒いやだから、部活子さんがいるときに発覚しなさいよ!?

私は部活子さんに教わったとおりにして間違えてたということは、部活子さんのやってたのはもっと間違えてるってことでしょ。

部活子さんって5年就業してたから、過去5年にさかのぼって誤りがあるってことでしょ?

なんで部活子さんがいなくなってから発覚して、部活子さん時代のものまでアタシのせいにされるのさ!?




部活子さんと後輩子さんがかかわっていた売上データ抽出は、抽出手順が正しくなかったので、ここ2年ずっとずーーと!すべてのアイテムが赤字オール赤字続きの集計表になっていました。会社潰れてるレベルよ。



部活子さんと後輩子さんによると仕事の出来ないという指揮命令者さんに正しい抽出方法を教わりなおしつつ、

私「これ、毎月マネージャーに提出していたはず。マネージャーはどうして気がつかなかったのでしょ?」

指揮命令者さん「そうだね!もう見てないのかも。マネージャーに聞いてみるね、やらなくてもいいよねって」


マネージャー「いるいる!見てる!」

…ウソつけぃ。






残った後輩子さんとその仲間たち。

お昼がくるとわざわざ私の机の周りに集まって、

「お昼どうするー」ってやってました。

私は、(この人たちと同じエレベーターに乗ったりしたくないから、時間ずらそうっと)と黙々と仕事していたら、

後輩子さん「どうしよっかな。お昼、さそってあげようかな。どうしよっかな」

だってさ。結構です一人で食べられますから。




その後、

後輩子さんは「自分は優秀なのに時給を上げてもらえないのが不満」と仰っていたそうで、辞めていきました。


私は、

派遣からも社員からも「ナラコが悪いナラコのせい」ってなんでも押し付けられて責められるのがほとほと嫌になって、これ以上は改善の余地なしと辞めました。

部活子さん後輩子さんのグループだけでなく、別の派遣さんからもナイことナイこと言われるし、ナイこと言って睨んでくるし、ナイこと言って私の指揮命令者に苦情言ってるし。

ナイこと言ってる派遣スタッフさんはご自身の指揮命令者にえらく失礼な発言受けてたらしいのに、「アノ人あんなこと言われてたよー」って周囲はただ拡散していくだけだしで…

こうやって書いてて思う、やっぱひどかったんだね、ここ。