#社員の話
新卒で入った会社では事務職ではなくて、技術系でした。
2人一組で作業しますので、
ペアを組むのは先輩になる。
原則一斉休憩、一斉業務開始。
昼休みの休憩以外に、午後の小休憩もありました。
会社の男女比率は9:1ほどで、男性が圧倒多数。
女性はそれぞれバラバラにポツン。
と距離を置いて休憩していることが多いけど、
男性社員は年齢問わず集まって喋っていることがほとんどで、
…開始時間が過ぎても仕事に戻ってこない。
私は新人でわからないというのもあるし、
そもそも2人一組作業ですから、
もう一方の人が戻ってこないなら作業できません。
5分遅れ…なんてよくあることだったし、
管理する上司不在の日は30分たっても仕事に戻らなかったり。
その日も、
新人の私は小休憩が終わるとすぐに作業場の椅子に着席して待機していました。
…先輩たちは戻ってきません。
でも実は、
パーテーションへだてて、すぐ隣に先輩たちはいて。
男性の先輩がたで楽しそうに喋ってる。
誰かひとり、
床に寝転がっているのが見えました。
その時、
集まっていた男性陣の一人が
「添い寝するなら…どっちがいい?サトとグランとどっち?」
「あっはっは!どっちも嫌だな(笑)」
サト、グラン、どっちも聞いたことがない。多分あだ名。
でも、聞こえてくる話の内容から、
女性の先輩のうち、誰と誰を指しているのかすぐ検討がつきました。
当時20そこそこの私。
怒りがこみあげてきましてね。
椅子から体を浮かして立ち上がりかかっていました。
(ホースはないか!?アノ人たちに水まいてやりたい!)
…いや、水回りなんてなかった。
(もう時間過ぎてますよ!何やっているんですか!)
と怒鳴ってやるか!?
…いや、アタシそもそも場面緘黙で大きな声なんてそうそう出ないんだった。
ずっと、体を浮かしたまま、手が震えたまま、
5分くらいしたら、先輩たち仕事に戻ってきたんですけどね。
何にも言えない自分が嫌でした。
…言ったところで、というか、
私は150センチ、やせ型で場面緘黙で運動歴なし。
相手はみんな170越えの筋肉もあれば、普段から後輩を怒鳴りつけることに慣れている人たちです。
勝てるわけないし怖かったですね。
その後数か月たって、
あだ名つけられていた女性の先輩の一人が、
「添い寝するなら…」なんて笑っていたうちの一人の男性の先輩から、
非常に理不尽な理由で、会社中に響き渡る声で怒鳴られていました。
「うるさい!オマエナンカに言われなくてもわかっているんだよ!黙れ!」
言われた女性の先輩、泣いて帰っていきました。
仕事が終わって、休憩室にもどったとき、
私「今のは、先輩も悪いと思います」って男性の先輩にむかって口をついて出ました。
言うと同時にボロボロ涙が止まりませんでした。
それが理由で私も怒鳴られたりすごまれたり、男性の先輩はいかに自分は悪くないか言ってましたが、
「それでも先輩も悪いと思います」
って涙と鼻水たらしながら繰り返しました。
休憩室にはほかにも男性の先輩たちがいましたが、だれも間に入ってくれませんでした。
…私が、ハイすみません。
というまで、私はすごまれつづけました。
翌日。
2人一組のペアっていうのは、その日の朝にリーダーが決めるんですが、
私はどういうわけか、昨日私ともめた男性の先輩と組まされました。
シフト表見たときに、
世の中はとてもひどいところなんだな、
と思いました。